ボタンが押せなかった。療育に申し込む日、何度も画面を閉じた話

療育・支援(制度・体験談)

\ この記事を読んでほしい方 /
療育の見学申込みページを開いたまま閉じた経験がある方
「申し込む=障がいを認める」という感覚があった方
最初の電話や面談でうまく話せなかった方
怖い場所かもしれないと思ってなかなか動けなかった方

きれいごとじゃない話を書く。
ボタンひとつ押せなかった、あの日のことを。

療育の見学申込みページを
何度か開いた。
そして閉じた。
また開いた。
また閉じた。
「申し込む」のボタンがなぜかすごく怖かった。なぜ怖いのか、自分でもよくわかっていなかった。
でも今思うと、たぶんこういうことだったと思う。

申し込むと、認めることになる気がした。

この子に「何か」があると。
まだそこに踏み込みたくなかった。
それに「療育」がどんな場所かも全然わからなかった。
怖い場所だったら。
変な目で見られたら。
何か取り返しのつかないことになったら。
根拠のない怖さが、ボタンの前に積み重なっていた。
結局、押せないまま日が経った。
そうしたら療育のほうから電話がかかってきた。
登録した番号に連絡をくれたのだった。
電話が鳴った瞬間、心臓が跳ねた。
出るか出ないか、一秒迷った。
出た。 

我ながらひどい受け答えだったと思う。
今になって振り返ると
不安が全部、口調に出ていた。
短く答えてあまり質問もしなくて
どこかツンケンした感じになっていた。
怖かったから。
でも怖いとは言えなかったから。
それでも先生は丁寧だった。
急がせなかった。
責めなかった。
粘り強く。
でも、安心できるように、子どもの未来を見据えて今してあげられる療育が大切だから、うちを見学して他の療育を契約してもいいから、とにかく子どもに療育の機会を与えて欲しいと話を続けてくれた。
「どんなことが心配ですか」
「見学はお子さんと一緒でも大丈夫ですよ」
「何かわからないことがあればまた聞いてください」
そういう言葉をひとつずつ置いてくれた。
電話が終わる頃には
少しだけ呼吸ができていた。

体験の日、初めて中に入った。
面談があり、先生が子どものことをいろいろ聞いてくれた。
特性のこと。
日常のこと。
困っていること。
話しながら途中で言葉が詰まった。
泣いた。
子どものことを人に話すとき
いつもそうなる。
うまく言葉にできなくて
でも伝えなきゃいけなくて
そのあいだで声が出なくなる。
それでも話した。

知っている限り、全部。
自分にできる限り、全部。

この子のことをちゃんとわかってほしかったから。
中途半端に伝えて中途半端に支援されることが怖かったから。
泣きながら話した。
たぶんぐちゃぐちゃな話し方だったと思う。
それでも先生は最後まで聞いてくれた。
面談の終わりに、先生が自分のことを少し話してくれた。
不意打ちだった。
泣き止みかけていたのにまた目が熱くなった。
肩からすっと力が抜けた気がした。

あとから思ったこと。
慣れない場所は大人でも怖い。
初めての人と話すのは大人でも緊張する。
子どもに「大丈夫だよ、慣れるよ」と言いながら自分だって全然大丈夫じゃなかった。
それでよかったんだと今は思う。
怖くて当然だった。
ツンケンして当然だった。
泣いて当然だった。
ボタンが押せない日があっても
押せないまま日が経っても
それは臆病なんじゃなくて
それだけ真剣だったということだと思う。
この子のことを、軽く扱えなかっただけ。
まだ療育には通い続けている。
最初の先生との縁が今も続いている。
あの電話がなかったら
あの面談がなかったら
どうなっていたかはわからない。
あの電話がなかったら、と今でも思う。

次回は「療育に、慣れるまでの話」
場所にも、先生にも、自分自身にも。
最初から話せたわけじゃなかった。そのことを書きます。

どうか同じように我が子を思い、調べ、悩むあなたの心が少しでも晴れますように。

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